溶接すると曲がるのはなぜ?「歪み」と職人技の世界

溶接というと「金属をくっつける作業」というイメージが強いかもしれません。
でも実は、溶接の本当の難しさは “くっつけた後に、狙った寸法・精度に仕上げること” にあります。
今回のテーマは 「歪み(ひずみ)」。
溶接は熱を使う以上、歪みは“起きて当たり前”。
そこをどう抑えて、どう仕上げるかで、機械の出来が大きく変わります。
1. 溶接すると、なぜ曲がるのか?
答えはシンプルで、熱で伸びて、冷えて縮むからです。
溶接中、金属は局所的に高温になります。すると一度膨張します。
その後冷えると、今度は縮みます。しかも溶接した部分だけが強く縮むため、周りの材料を引っ張ってしまい、
結果として 反り・ねじれ・曲がり が発生します。
イメージしやすいのは「スルメイカ」です。
イカを網で焼くと、熱でクルッと丸まってしまいますよね? あれと同じことが、硬い鉄板でも起きているんです!

つまり歪みは、溶接不良というより物理現象。
だからこそ、対策の有無が品質に直結します。
2. 歪みが大きいと、何が困る?
歪みは「見た目がちょっと曲がる」だけの話ではありません。
機械づくりでは、こんなトラブルの原因になります。
- ボルト穴が合わず、組み付けに時間がかかる
- フレームがねじれて、動きが渋くなる/擦れる
- 寸法が出ず、部品交換や追加工が必要になる
- 力のかかり方が偏って、疲労や割れの原因になる
✅ “ちゃんと動く”“長く使える”機械を作るには、歪まない溶接が必要不可欠です。
3. 歪みが出やすい「難しい条件」がある
同じ溶接でも、歪みやすい状況があります。たとえば、、、
薄板: 熱の影響が全体に回りやすく、反りやすい
長尺(長いフレーム): わずかな収縮が大きな曲がりになる
片側からの溶接: 引っ張りが一方向に偏る
箱形・コの字形: 収縮の逃げ場がなく、ねじれやすい
こういう条件ほど、経験と段取りが効いてきます。
4. 職人がやっている「歪みを抑える技」
ここからが溶接の“腕の見せ所”です。
歪みは運ではなく、予測して抑えるもの。代表的な工夫を紹介します。
① 溶接の順番を工夫する
いきなり片側を長く一気に溶接すると、縮みが一方向に集中して曲がります。
そこで、左右対称に進めたり、場所を分散させたり、短い距離で刻んだりして、歪みを相殺させます。
② 治具での固定の仕方を工夫する
単にガチガチに固定すれば良いわけではありません。
拘束が強すぎると、別の部分に無理が出たり、割れのリスクが上がったりします。
素材の動きを読みながら、「どこを支えて、どこを逃がすか」を決めます。
③ あらかじめ逆方向に反らせる
歪む方向が分かっているなら、最初から逆方向に少し反らせておき、溶接後にまっすぐに戻す方法もあります。
この“ちょうど良い加減”が難しく、経験がものを言います。
④ 熱の入れ方をコントロールする
歪みは入熱が増えるほど大きくなりやすいです。
だから、電流・速度・棒の動かし方を調整して、 必要な強度を確保しつつ、余計な熱を入れすぎないようにします。
5. 仕上げまで含めて「精度を作る」
溶接は、くっつけた時点で終わりではありません。
機械としての性能に直結するのは、「その後の仕上げ」も含めたトータルの作り込みです。
歪みが出た場合も、どこをどう修正すれば狙いの精度に戻るか。
やりすぎれば寸法を壊すし、無理をすれば素材に負担も残る。
“直す”こと自体も、実は高度な技術なんです。
6. 日本ヴァリティーが大切にしていること
私たちは、見た目がきれいな溶接だけを目指しているわけではありません。
狙いはもっと実務的で、もっと大事なところです。
- 組み付けがスムーズに進む
- 動きが気持ちよく、引っ掛かりがない
- 長く使ってもトラブルが起きにくい
- 仕上がりの再現性が高い
🔧 そのために、溶接で起きる歪みを前提に、順序・治具・入熱・仕上げまで含めて、職人がきっちり作り込みます。
まとめ:溶接は「つなぐ工程」ではなく「精度を作る工程」
溶接は、火花が散って迫力がある作業ですが、実態はとても繊細です。
熱で動く金属を読み、歪みを抑え、最後に狙った寸法と動きに仕上げる。
日本ヴァリティーでは、今日お話ししたような「見えない微調整」を重ね、
職人が一品一品丹精込めて “長く安心して使える機械” を製造しています。
重量物の運搬・搬送について、 もし他社から「難しい」と断られてしまった案件などがございましたら、
あきらめる前にぜひ一度、日本ヴァリティーにご相談ください!

